デザインマネジメントとは

近年、脚光を浴びるようになってきた「デザイン」。
デザインをビジネスに取り込むために必要とされているのが「デザインマネジメント」という考え方です。

デザインマネジメントとは一体何なのでしょうか。

目次
1.デザインマネジメントとは
2.そもそもデザインって?
3.企業活動におけるデザイン
4.デザインマネジメントの実践
5.デザインマネジメントが求められる背景
6.デザインマネジメントがもたらす結果
7.関連書籍、参考サイト

1.デザインマネジメントとは

デザインマネジメントとは、デザインを重要な経営資源として捉え、積極的に管理・活用していく考え方です。
これまでデザインというのは、商品開発の最後の部分にくっついてくる「見てくれ」をととのえるもの程度の扱いでしかありませんでした。しかし、デザインを経営の中心に据えて積極的に起業活動に展開させるのがデザインマネジメントです。

2.そもそもデザインとは

デザインというと一般的には、すがたかたち、いろ、配置などといった「意匠(style)」として捉えられることがほとんどです。しかし、そもそものデザインという言葉の意味にはほかの重要な意味も含まれています。デザインという言葉の語源は「designare」というラテン語です。これは「計画を記号に記す」という意味を持ちます。日本ではこの意味の後ろの部分「記号に記す」しか理解されていませんが、本来は「計画して」という意味も含んでいるのです。ですから、ものごとの始まりの部分から考え計画し、それを何らかの方法で表現しようとする一連の行為が「デザイン」という言葉の本当の意味なのです。

3.企業活動におけるデザイン

企業にとってデザインとは、理念やミッションを達成するための創造活動です。それは「P-BOFER」という考え方が示してくれます。
この図のようにデザインは理念を実現するためのさまざまな要素に影響するのです。具体的な例を挙げてみましょう。

Appleは「テクノロジーを介して何百万人もの人の生活を変える」というビジョンを持っています。そして、その実現のために、他と違う考え方を尊重しています。他にはない新たなものを生み出すことで、人々の暮らしを変えよう、ということです。この考え方を具現化したものが、Appleの製品たちです。iPhoneについて考えてみましょう。

iPhoneは非常に美しいデザインに仕上がっています。製造工程にもかなりこだわり、美しさを極限まで追求していると言えるでしょう(審美性)。iPodをベースとしたスマートフォンのあり方は、私たちを驚かせました(独創性)。また、内部のソフトウェア、アプリによってさまざまに使い方が広がるという機能も新しいものでしたし、つねに斬新な機能を追加し続けています。さらに、ボタンの感触やシンプルなインターフェースは、気持ちのいい操作感を生み出しています(機能性)。決して安いものではありませんが、多くの人が買い求めたということは、価格を超える価値があったからでしょう。単なる機械装置ではなく、望むライフスタイルを実現するためのツールとして受け入れられました(経済性)。商品そのもののクオリティももちろんですが、Appleが打ち出すiPhoneの広告やメッセージは、Appleブランドの信頼を高める役割を果たしました(信頼性)。

Appleの代表的な商品は、理念から生まれるとともに、逆に、理念を高めることにも貢献したのです。

このようにデザインをマネジメントすることは、企業の理念やビジョンを盤石なものにするために有効に働くのです。

4.デザインマネジメントの実践

デザインマネジメントは決まったフレームワークのもとで実践されるものではなく、経営のさまざまな要素と関わりながら行われます。しかし、いくつかのポイントはありますので紹介します。

コンセプトの確立による一貫性

デザインは無から生まれることはありません。デザインはなにかの役割を果たすために生まれ使われるのです。その役割を示したものがコンセプトです。言い換えれば、目指すべき目標到達地点を示したものであり、あらゆる決定事項の根拠となるものです。
>企業のコンセプトが確立できると、それをブレークダウンすることであらゆる企業活動を根拠ある活動にすることができます。この製品を作っているのはなぜなのか、このスタッフを雇用するのはなぜなのか、そのすべてがコンセプトによって根拠付けられることができます。

コンセプトは企業の存在価値そのものなのです。

データ化できない部分を大切な情報として捉える

いくらおいしいクッキーを作ったとしても、どこにでもあるようなポリ袋に無造作に入れて売られていれば、決して魅力的には見えません。ハート型でかわいらしいクッキーを、黒くて重厚感のある箱に入れて販売すれば、買って開けたお客さんはびっくりします。
お客さんを観察してみると、アンケートや統計ではすくい取れないようなさまざまな情報がわかります。こういった観察から得られる情報は、「なんとなくおいしそうに感じない」「手触りがちょっと違う」など、感覚的なものがほとんどです。人の感覚に訴える手段としてもっとも役に立つのは、色や形など直感的に訴えることができるデザインなのです。

面で展開される

デザインは一発で確実に成果をあげられるようなツールではありません。大手広告代理店の作る大掛かりなキャンペーンなどは一発当てるためにやっているように見えますが、一連の企業プロモーション計画、MD計画に基づいてマネジメントされたものなのです。
パッケージを変えたけれども売れなかった、チラシを撒いたけど集客できなかった、などといったことを経験している方も多いでしょう。しかし、デザインは点で実施されるものでなく、多くの点を結び面としてマネジメントしていくべきものなのです。デザインが成果をあげるためには、長期に渡って計画的に実施される必要があります。

5.デザインマネジメントが求められる背景

このようなポイントを押さえながら経営にデザインの考え方を用いるのがデザインマネジメントですが、なぜこのような考え方が必要とされているのでしょうか。

2000年代に入るとデータ分析やビッグデータという言葉をいたるところで聞くようになりました。データを活用して顧客の傾向を見つけ、商品開発やサービス向上に役立てようというマーケティング手法がもてはやされました。はじめは大手が取り組んでいましたが、だんだんと裾野が広がり、あらゆる企業がデータ分析を行うようになりました。データ分析の手法がコモディティ化したのです。その結果、どの企業も同じデータを使い同じ手法で分析を行うので、世の中に同じような商品・サービスがあふれかえることになったのです。データ・マーケティングが広まったことで、差別化が難しい時代になってしまったのです。このようなマーケティング手法が広まった背景には、ビジネスにおいて曖昧で感覚的な(根拠がないと思われる)ものを取り入れる前例があまりなかったからかもしれません。つまり、データ・マーケティングは「失敗しない」と手法として取り入れられていたのです。

こういった流れを打開するために注目を浴びるようになったのがデザインマネジメントです。データからはわからない、五感を通じて得られる感応的な情報をきちんと管理して的確に伝えようとしたのです。デザインマネジメントが求められるのは必然であるといえます。しかし、デザインマネジメントが世の中に浸透し、広く活用されればまた手法のコモディティ化が起こります。さて、デザインの次に時代に求められるのは一体なんなのでしょうか。

6.デザインマネジメントがもたらす結果

経済産業省と特許庁は2018年に『「デザイン経営」宣言』とした研究結果をまとめました。企業が大切にしようとしている価値をデザインを通してコミュニケーションすることが企業に大きなプラスの結果をもたらすとしています。

http://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180523002/20180523002-1.pdf

デザインマネジメントを実践できれば、こんがらがっていた頭の中がクリアになります。それは経営者自身も、そこで働くスタッフも、商品・サービスを購入する人も。
企業価値、ブランド価値を高めるためにデザインマネジメントをぜひ取り入れてみてください。

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